スティーブン・キング「ダーク・タワー」

私がスティーブン・キングのファンになってもう30年くらい経ちますが、まだ手をつけていなかった作品があります。それがボリュームで言えばキング最大の作品「ダーク・タワー」です。これはキングの他の様々な作品にも関係している集大成的な物語だということなので、これまでは遠くから望むだけの未踏の高峰として畏怖する対象だったのでした。

•••ということも確かにありますが、新潮文庫版が絶版になり入手できなくなっていたことが主要因です。原書はAmazonでいつでも買えますが、ダークタワーはペーパーバックで全巻揃えると結構な金額だ、などと思っているうちに年月が経っていきました。

そしてこのたびネットのフリーマーケットで新潮文庫全16冊を入手でき、10月から読み始めました。

読了していないため説明が正しいかは自信がありませんが、一言で言えば、無数にあるパラレルワールドを正常に保つ機能を持つ「塔」がどこかに存在しており、そこにたどり着こうとして主人公たちが旅する話です。どうやら塔を崩壊させようとする勢力がいるらしく、そのために世界は困ったことになっています。

全体としては中世騎士物語+西部劇の世界にホラーとSFの要素が満載され、それでもカオスにならず「これ以外にないな」というまとまりになっているのはさすがキングです。

ちょうど米大統領戦が終わった頃に読んでいた文庫の9冊目には「テレビで金持ちを見たとき ー 例えばドナルド・トランプとか」というセリフが。この巻が出た2003年には、彼が二度も米大統領になろうとは予想していなかったでしょうね。そういえばトランプ本人がちらっと登場した映画「ホームアローン2」(1992年)、トランプをモデルとした悪役が出る「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」(1989年)も振り返ると、彼が成金キャラクターとして定着していた歴史を感じます。

これだけのボリュームがあれば当分楽しめると思っていましたが、じっくり読みはしても圧倒的な吸引力で読むのがやめられず、もう残り3分の1以下になってしまいました。もっとスピードを落とさなければ。