ほしがられる形

ずっと見たかった「曜変天目」がある静嘉堂文庫美術館(丸の内)へ行ってきました。

静嘉堂文庫美術館 https://www.seikado.or.jp

「曜変天目」は思っていたより小ぶりで繊細な茶碗です。見る方向によって様々な色合いになる深い青が星空のようで美しく、写真では分からない素晴らしさ。この模様は偶然の産物で、今でも再現できていないそう。これだけは撮影禁止でしたので、美術館のサイトの収蔵品のコーナーからご覧ください。

写真は「付藻茄子」です。おそらく最も有名な茶入れですね。所有は足利義満→松永久秀→織田信長→豊臣秀吉→徳川家康と、その時々の実力者がみんな欲しがった名品です。大阪城落城時に焼けて破片として回収され、家康が修復させたものですが、いくら見ても継ぎ目など全く分からないすごい技術です。

「付藻茄子」の形やツヤは、ナスとかマンゴスチンとかトチの実など、なんとなく植物の実を思わせます。人間が狩猟採集生活をしていた頃の名残のせいか、人は木の実の形にはちょっと惹かれるものですが、みんなに欲しがられた名品の秘密の要素はそういうところにもあるかもしれないと思いました。

静嘉堂文庫美術館
付藻茄子