約20年前に初めてパリへ来た時に宿を取ったのが14区にあるダゲール通り(Rue Daguerre)のホテルでした。初めてのフランスだったのと、活気ある下町のその界隈が気に入ったためだと思いますが、そのホテルの名前はずっと覚えていました。私はその後フランスには仕事で何度も来たり、しばらく住んだりすることになるのですが、そのホテルに泊まる機会はありませんでした。
今年、オリンピックを控えたパリへ仕事で行った際、いつも泊まるエリアに空きがなく、ふとあのホテルに行ってみようかと思い立って調べると、記憶しているような名前のホテルはもうないようでした。残念。ダゲール通りを訪れるだけでも良いかと、そこにあるホテルを予約しました。
ダゲール通りの商店街は昔と変わらず賑わっています。
チェックインの際、フロントの女性に「昔、この辺りに〇〇というホテルがありましたよね」と話してみると、なんとそれはこのホテルとのこと!すっかり改装して、名前も全く別のものに変わっているので気がつきませんでした。その女性はホテル創業者の孫で、20年前もフロントによくいたということで、私と顔を合わせていたかもしれません。昔のことを覚えていたことにとても喜んでくれました。
名前が変わっていることについては、パリに同名のホテルができて紛らわしくなったため、7年前に名称変更したのだと教えてくれました。元の名称はアラビア語で大使という意味で、この国にやってきてホテルを始めたお爺様こだわりの名称だったそうです。変更を余儀なくされたのは残念ですね。壁紙のアラベスク模様など、ホテルの内装にアラブのテイストが感じられたのも、そのようなルーツからなのかと納得しました。
こんな昔話から始まって、その後もフロントですっかり長話してしまいました。