耳に痛い言葉や、希望を挫くような事実に触れることは誰しも愉快ではないものです。しかしこの本は「端的に言おう。文字通り私たち人類は、破滅の崖の淵に立っている。」と厳しい現実を突きつけます。
気候崩壊が始まったと国連事務総長が述べたのは2023年9月のことでした。もはや気候変動の進行を遅くすることはできても、かつての環境を取り戻すことはできません。生き残るためにハードランディングの道しか残されていないフェーズに入ってしまった今、明るい未来に向けた「進歩」から「気候崩壊への適応と生存」へと頭を切り替える必要があると著者の斎藤氏は宣告します。
そして命と地球を粗末にすることなく、自由と民主主義を守る方策が社会主義的な適応だと論じます。資本主義で全てを市場に任せることは、エッセンシャルでない商品が際限なく生産され資源が無駄使いされることを意味しますが、これを抑制し、限られた資源を生存に回すためには社会主義だというわけです。
ソ連の崩壊を見てきた私たちには、社会主義には専制や失敗のイメージがつきまといます。本書ではその点について多くの解説を行い、目指すべき社会のあり方はそうではないとします。
賛否はあるでしょうが、どのように生きるべきか手がかりを探すためにも、本書を手に取る価値は大いにあるでしょう。

