出張先でスティーブン・キングの新作”Never Flinch”を読了。面白い本を読んでいると新幹線の移動時間がとても短く感じますが、キングの小説ほどそうさせてくれる本はなかなかありません。
この作品で”flinch”という言葉を初めて知りました。「怯む」とか「たじろぐ」という意味なんですね。今回の本は、子供の頃のトラウマあるいは邪悪な存在により、後に退かないよう追い立てられる連続殺人犯の物語。ここ最近のキング作品に多い探偵ホリーものです。
並行して進む複数の物語が次第に合流するストーリーは見事で、場面の切り替えとテンポも良く、まるで映画を見ているような感じはいつものキング作品。
しかし読み終わってみると、スマートにできたごく普通の小説だったかなという感じも。細かな点まで伏線回収がなされ、綺麗にできすぎているせいでしょうか。「あれはなんだったのだろう」という異物感が少ないからかもしれません。消化しきれない、気になるものがある方が物語は心に残る気がします。私の好きな短編「1408号室」で部屋にかかってくる意味不明の電話のように。
あとがきによれば、タイトルは3回変えた末にこれに落ち着いたようです。そんなキングこだわりのタイトルが邦訳でどうなるか楽しみです。本書で「flinchするな」が罵倒として使われる情景から考えると、「怯むな」ではちょっと文章語すぎる印象です。しかし「びびるな」だとタイトルとして今ひとつです。
やはり直訳しないという選択肢でしょうか。翻訳者でもないのに悩みます。

